2.戦略爆撃調査団が記録した松根油映像資料
松根油工場に着いた松の根は荷台から降ろされる. 左手の小屋は当時の消防器庫で,この小屋も松根油工場の場所を特定する手掛かりになった. 現在この場所は大規模林道建設工事のため山の斜面が切り取られて拡幅され,すっかり形を変えている. 貯木場に蓄えられた松の根は順次,小割され松根チップになる.ノコや斧を使った作業が紹介されている.ノコの場合は切断する際に松のヤニがついて切れにくくなり,刃の部分に注油しながら作業する様子が描かれている. 映像にはこの他に斧を使ってマキを割る様子なども記録されている. 小割された松根チップの山. これをカマス(藁で編まれた袋)に入れて松根釜まで運ぶ.松根のチップ化の作業の日当は出来高で,カマス一杯いくらと決まっていたらしい. まず前のサイクルで蒸し焼きにした松の根を釜から取り出して新しい松の根を釜に入れる.チェインブロックが使用されている. 4基の松根釜と燃料の投入.燃料には炭化した松の根が使用された.最初はゆっくりと焚き,松根油が出始めたら火力を上げていくというのが炊き方のコツらしい. 気化した成分を水で冷やし松根油を液化する冷却池.竹のパイプが使われたため,竹が浮いてこないように石で重しがしてある. 松根粗油をためる瓶.この写真でははっきり確認できないが,実際の映像では油が出てくる様子が紹介されている. 副産物としてタールも出てくる.タールは早い時期に分離してドラム缶につめる.このタールも有効利用された. 瓶に溜まった松根粗油を慎重にすくいだす老人.松根油粗油は比重が小さいため上の方で層をつくる.成層を乱さないように油をすくいあげる必要があった. 次に進む.